Microsoft Outlook、そして Outlook for the web とご紹介してきましたが、今回は、以前よりその "迷惑メール対策" に定評のある "Mozilla" の 「Thunderbird」について取り上げてみました。
【Thunderbird とは?】
ご存じない方は少ないかもしれませんが、簡単に 「Thunderbird」についてご紹介します。「Thunderbird」は、Mozilla が提供しているメールクライアントです。
Mozilla と言えば、"Firefox" というブラウザでも有名ですね。
無料で提供されているソフトではありますが、オープンソースプロジェクトとして開発が進んでおり、プロジェクトの運営においては、以下のサイトで寄付金なども募っています。
Windows、Mac、Linux といったクロスプラットフォームで動作するアプリになっています。
--"Thunderbird" をダウンロードする:
通常、Windows 版の場合、ダウンロード ボタンからダウンロードすると、32ビット版 のアプリがダウンロードされます。
OSが仮に、64ビット版であっても、既定では 32ビット版がダウンロードされてしまいますので、64ビット版をダウンロードしてご利用になる場合には...
- 上記の画像にもあるように "無料ダウンロード" ボタンの下にある、"システムと言語" をクリックして、ダウンロードサイトに移動します。
- アルファべティカルのインデックスが表示されますので、"J" をクリックすると、"日本語" のところに移動し、リンクをクリックしてダウンロードします
【迷惑メール対策機能】
特にその特徴とも言えるのが 「学習型迷惑メールフィルター」となります。
「すべての新着メッセージは学習型迷惑メールフィルターで解析されます。ユーザーが迷惑メールの判定を行うたびに、その内容が蓄積されて自動判別の精度が向上する」
とあるようにベイズ理論に基づいた学習型迷惑メールフィルターは、使えば使うほどその精度も向上し、迷惑メール処理作業の削減に効果があります。
「フィッシング詐欺警告機能」というのもうれしい機能の一つですね。
【迷惑メール対策機能の設定】
さて早速その具体的な機能と設定について見ていきましょう。
迷惑メールの設定を行う際、Thunderbird の場合
- すべてのアカウント共通の既定の設定
- アカウントごとに行う設定
と2通りあります。
1) すべてのアカウント共通の設定
- Thunderbirdを起動し、ハンバーガーメニューから、"設定" をクリックします
- 左ペインの "プライバシーとセキュリティ" をクリックし、右ペインをスクロールすると "迷惑メール" という項目があります
この機能は 既定で "有効" になっています。ただしマークした時の処理は、既定では有効になっていませんので用途に応じて有効にしてみてください。
2) アカウントごとに行う設定:
- Thunderbirdを起動し、ハンバーガーメニューから、"アカウント設定" をクリックします
- 左ペインのアカウント名の配下にある "迷惑メール" をクリックすると、右ペインに、"迷惑メールフィルターの設定" が表示されます
各アカウントごとに行う迷惑メール設定は、共通で行われている設定を上書きすることになります。アドレス帳をホワイトリストとして登録することで、アドレス帳に登録されている人からのメールを迷惑メールにならないようにすることが、ここの設定から行えます。
なおここの設定の中で、"次の迷惑メールヘッダーを信用する" という項目のところで、Bogofilter/DSPAM/POPFile/SpamAssassin/SpamPal といったスパムメールフィルタが選択できるようになっています。
この部分は、ご利用のプロバイダーや、レンタルサーバーなどでこうした迷惑メールフィルターを利用していた場合、Thunderbird でメールを受信したときにそのフィルターによって追加されたヘッダー情報をもとに迷惑メール判定をするものです。
ご利用のメールアドレスの発行元でこうしたフィルタが利用できる場合にはこの部分を有効にしておくことでさらに強化されることになります。なおここのフィルターは、Thunderbird 自身の持っている、迷惑メールフィルターとは異なります。なので、Thunderbird がこうしたフィルター機能を持っているわけではありません。
--移動と保存期間:
ここでは、迷惑メールと判定されたメッセージを、自動的に迷惑メールフォルダや、指定のフォルダに移動し、保存期間の設定を行います。
【迷惑メールとして設定する・解除する】
さて、次は実際に迷惑メールとしての設定についてみていきましょう。
--迷惑メールとしてマークする:
お恥ずかしながら、上記の画像は現在 Thunderbird に設定しているアカウントに届くメールのほとんどがスパムメールと判定されていますので、画面をご覧いただくとお分かりいただけると思いますが、"炎" のマークがついているのがスパムメールとして判断されているものです。
仮に、"炎" のマークがついていないものは非迷惑メールということになりますが、画面にはありませんが、この部分をクリックすると迷惑メールとして設定されます。
--迷惑メールとされてしまったものを解除する:
逆に、迷惑メールとして判定されてしまい "炎" のマークがついてしまったメールについては、
- "炎" のマークをクリックして解除する
- メッセージを開いて、"非迷惑メール" というボタンをクリックして解除する
のいずれかの方法で、解除します。
もっとも今回のアカウントの例だとワンクリック系の詐欺メールや、ビットコイン系の詐欺メールなどもあり、そうしたものは当然迷惑メールですし、いわゆる宣伝メールなんかもありますが、特別必要なメールではないので、本来は迷惑メールとして処理しても全く問題ないので、そういう意味で言えば全部迷惑メールで全く問題ないわけですね。
こうして、迷惑メール・非迷惑メールを選定して、"Thunderbird" に学習させてあげる必要があるわけです。
【外部の迷惑メールフィルター】
Thunderbird には、その設定の中で、Thunderbird 自身以外にも、外部のメールサーバーで採用されている迷惑メールフィルターを介して迷惑と判定されたメールを迷惑メールとして判定させる機能があることもご紹介しました。
- Bogofilter
- DSPAM
- POPFile
- SpamAssassin
- SpamPal
といったものが設定できるようになっています。
この部分については、先ほど書きましたが迷惑メールフィルターがご利用のメールサーバーで採用されているかどうか?によって異なりますので、レンタルサーバーや、プロバイダーなどにご確認ください。
さて今回一例で上げているうちのメールアドレスでは、"SpamAssassin" が採用されていますので、現在この部分を有効にしております。まぁそのせいか?普通の広告メールもバンバン Spam 扱いされていたりもしますね。
-- "SpamAssassin" とは?:
一例ですが、上記のような形でメールヘッダーに情報が付加されています。
- X-Spam-Checker
- X-Spam-Level
- X-Spam-Status
という項目がヘッダーに追加されます。一枚目は、SpamAssassin では、Status が "No" となっていますので、SpamAssassin では普通に広告メールとして判定されていましたので、おそらく Thunderbird の方で Spam と判断したんでしょうね。
2枚目の画像はまさにフィッシング詐欺の迷惑メールで、SpamAssassin でも、Status は、"YES" となっており、その Score も "7.4" とかなり高くなっています。"X-Spam-Report" のところで、その確率も、40-60% と提示されています。
もし自分の利用しているメールサービスがどのようなSpamメールフィルターを利用しているのか?確認するのであれば、こうしたメッセージのヘッダー情報で確認することもできます。
【その他のメッセージのフィルターリング方法】
Thunderbird では、こうした迷惑メール対策機能のほかにも、Microsoft Outlook でいうところの、"仕訳ルール" に該当する "フィルター" 機能もあります。
こうしたものを使用して迷惑メールとして判定させることも可能です。
外部の迷惑メールフィルターが使用されているものの、Thunderbird の一覧にはないというようなケースでは、このフィルターを使用して、ヘッダーに、X-Spam-Checker *** があれば、スパムとして判定させるなんて言うように設定するという方法も一案ですね。
インターネットで検索すると色々出てきますが、基本的な機能については、Thunderbirdのサポートページでも十分すぎるぐらいに丁寧に説明が出ていますので是非参考にしてみてください。
さて次回は、今回ちょっと取り上げた ベイズ理論に基づいた スパムメールフィルターについて触れてみたいと思います。
<参照>