前回、迷惑メールとは? というところから始まったこのシリーズ。今回から、具体的な迷惑メール対策についてみていくことにします。そしてその1回目が、Microsoft Outlook の迷惑メール対策についてです。
Microsoft Outlook には、当然ながら迷惑メール対策は搭載されています。もちろんセキュリティ対策ソフトの導入によりアドオンとして追加されているケースもあるかもしれませんが、そうしたものとは別のものになります。
【Outlookが提供している迷惑メール対策機能】
"迷惑メール フィルターの概要" の中でも紹介されていますが、Microsoft Outlook の迷惑メール対策機能を使用する上でどのような形で迷惑メールとして判別して振り分けできるかというと、以下のようなものになります。
ホームタブ>迷惑メール>迷惑メールのオプション と開くと以下のような項目が確認できます。新しいUIに変わるとちょっと場所もわかりずらくなりますが、ホームタブ>[...]>迷惑メール>迷惑メールのオプション と開くと表示されます。
- 信頼できる差出人のリスト
- 信頼できる宛先のリスト
- 受信拒否リスト
- ブロックするトップレベル ドメイン リスト
- ブロックするエンコード リスト
というものが主だったものになります。
なお、上記の参照したサイトに、"Exchange キャッシュ モード" についても記述がありますが、こちらは、Microsoft 365 や Microsoft Exchange Server メールボックスを利用している場合に有効にするもので、一般の方が POP形式やIMAP形式でプロバイダーなどから提供されているメールアドレスで利用できるものではありませんので今回は省かせていただきます。
1) 信頼できる差出人のリスト
文字通り、この差出人は問題ないよ?というケースや、この方からのメールは絶対に迷惑メールなどに入らないようにしたい場合に登録します。時々何かの会員向けサイトにユーザー登録する際に、その会社からのメールが迷惑メールに入らないように設定してください...何て注意喚起されるケースがありますが、そんな場合にはここに該当のメールアドレスを登録しておきます。ここに登録できるのは、1024件までとなっています。
2) 信頼できる宛先のリスト
最近ではあまりメーリングリストなんて使わない人も多いのかもしれませんが、特定のグループなどでメールをやり取りする際に便利なメーリングリスト。そうしたメール アドレスやドメイン名からのメールを、メッセージの内容に関係なく、迷惑メールとして扱われないようにするために登録します。
3) 受信拒否リスト
迷惑メールとして、受信拒否として登録したメールアドレスが表示されます。通常、この操作でメール送信者がここに追加されますが、着信したメールを右クリックして設定していった場合、送信者が偽装されて、自分のメールアドレスであったり、知り合いのメールアドレスだったりすることもあるため、その場合には注意が必要です。
4) インターナショナル
ここでは、送信されてきたメール送信者のドメインやメッセージのエンコードによって迷惑メール処理を行う場合に設定します。
・ドメインリスト: ドメインリストでは、国名を指定することで、その国から発信されるメールを拒否できます
・エンコードリスト: メールのメッセージには、文字コードが指定されていたりします。そうした他の文字セットまたはアルファベットの迷惑メール メッセージを拒否する際に設定します
--迷惑メールの保護レベルの設定:
これまでにご紹介したものの他に、"迷惑メールの保護レベル" を調整することで自動処理が可能になります。実は、Microsoft Outlook を利用する上で迷惑メール対策の肝になるのがこの設定になります。
上記にもあるように、この設定は、デフォルト(既定値)としては、"自動処理なし" となっています。
- 自動処理なし
- 低
- 高
- セーフリストのみ
から選択が可能です。
1) 自動処理なし:
"受信拒否リスト" に登録されているものだけ迷惑メールとして処理します
2) 低:
極めて迷惑メールの可能性の高いものだけを、迷惑メールとして処理します。受信拒否リストと合わせて利用するといいかもしれません
3) 高:
ほとんどの迷惑メールは処理されますが、最初のうちは精度も低いため、通常のメールも迷惑メールとして処理されてしまう可能性もあります。必要なメールを「信頼できる差出人のリスト」を利用して、そこに登録することで、Outlookに学習させるといった処理も必要になります
4) セーフリストのみ:
これを選択した場合、"信頼できる差出人のリスト" と "信頼できる宛先のリスト" に登録されたアドレス以外のメールがすべて迷惑メールとして処理されます
"迷惑メールを迷惑メールフォルダに振り分けないで削除する" がオンになっていると、自動的に削除されてしまいますので注意が必要です。
「フィッシング詐欺メッセージ内のリンクや、その他の機能を無効にする(推奨)」、「電子メールアドレスに不審なドメイン名が含まれてる場合に警告を表示する(推奨)」については、処理レベルを、"低" または "高"、"セーフリストのみ" などに設定を変更すると、有効・無効が切り替えられるようになります。
繰り返し学習させることでその精度も上がっていきますが、根気よく対応していく必要があります。
【迷惑メール処理】
-- 迷惑メールとして処理する:
上記のメールは一例ですが、いわゆるビットコイン詐欺の迷惑メールです。発信者のメールアドレスもどこからか入手されたものに偽装されています。
通常こうしたメールが届いて、発信者がまったくお付き合いもなく、関係のない人だったりする場合....
- メールを右クリック
- 迷惑メール>受信拒否リスト
とすれば、迷惑メールとして、"受信拒否リスト" に追加されます。
Outlook 2013 の例ではありますが上記の Outlook 2013 のトレーニングのサイトでは動画でもその処理方法が紹介されていますので、参考にしてみてください。
--迷惑メールを解除する:
なかなかメールが届かないな?と思ってよくよく見ると、"迷惑メールフォルダ" に入っていた....なんていうことはよく聞く話です。そんな場合の対処法についても見ていきます。
- 迷惑メールに振り分けられてしまったメールを右クリック
- 迷惑メール>"迷惑メールではないメール" とクリック
- "迷惑メールではないメールとしてマーク" のダイアログが表示されたらメールアドレスを確認し、OKをクリックします
通常であれば、"迷惑メールではないメールとしてマーク" にチェックが入った状態でOKをクリックすると、"信頼できる差出人のリスト" にそのメールアドレスが追加されます。
最初に迷惑メールとして手動で処理したような場合、"受信拒否リスト" に送信者のアドレスが追加されますが、今回 Outlook for Microsoft 365 Ver.2203(ビルド15028.20204) で設定を見てみると、この操作をしても、"受信拒否リスト" からは削除されないようなので、受信拒否リストも確認して登録が残っているようであれば削除しておくことをお勧めいたします。
他にも Microsoft Outlook の場合には、"仕分けルール" を使用して迷惑メールとして処理することも可能かと思います。仕訳ルールについては、今回触れませんが 「仕分けルールを使ってメール メッセージを管理する」なども参考にしてみてください。
さて今回は、Microsoft Outlook の迷惑メール対策機能についてみてきましたが、次回は Outlook つながりということで、"Outlook for the web" の迷惑メール対策機能について検証してみたいと思います。
<参照>
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