「32ビット版の Adobe Acrobat Reader DC を利用したい」とタイトルにしてみたものの、実は32ビット版をインストールすること自体はさほど難しい問題じゃないんですが、昨今、Adobe Acrobat Reader DC は、仮に32ビット版を入れても、自動的に 64ビット版にアップグレードされてしまうようです。もちろん64ビット版でも問題ないのであれば、いいわけです。
しかし、実はこれが問題なわけです。今回はこの問題についてご紹介させていただきます。
【32ビット版の Adobe Acrobat Reader DC をインストールする】
冒頭にも書きましたが、32ビット版をインストールすること自体はたいして難しいことではないわけですが、まずはインストール方法からご紹介します。32ビット版のご利用にあたっては、仮にすでに64ビット版が導入済みの場合には、いったん Adobe Acrobat Reader DC を削除した上で行ってください。
1) Adobe Acrobat Reader のダウンロードサイトにアクセスします
2) このまま "Acrobat Reader をダウンロード" をクリックしてしまうと "64ビット版" がインストールされてしまうため、"別の言語版または別のオペレーティングシステムをお持ちですか?" をクリックします
3) 左ペインで、
・手順1:オペレーティングシステムを選択してください
・手順2:言語を選択してください
・手順3:バージョンを選択
を適宜選択してから、右ペインの "Adobe Readerをダウンロード" をクリックします
4) ダウンロードが完了したら、EXEファイルを実行してインストールを実行します。
--- インストールの際の注意:
画像にもあるように、インストールの画面のところで、"オプションのオファー" のところが、McAfee Security Scan Plus/McAfee Safe Connect を同時にインストールするように既定でオンになっています。
これらのアプリが不要な場合には、この画面の段階でチェックをはずしてから、"別の言語版または別のオペレーティングシステムをお持ちですか?" をクリックしないと、一緒にインストールされしまいますのでご注意ください。
【自動的に64ビット版のアップグレードされてしまう】
Adobe の Support Community の 「Acrobat Reader DC を32bit版のままで利用するための対処法(64bit版へのアップグレードを抑止したい方へ) 」によると、
アドビでは、2021年2月以降より一部の地域から段階的に、 64 ビットの Acrobat Reader DC、Acrobat DC のリリースを進めております。32 ビットの Acrobat Reader DC アプリケーションをインストールしている場合は、64 ビットの Acrobat Reader DC に段階的にアップグレードされます
とのことです。つまり、32ビット版をインストールしても、自動的に64ビット版にアップグレードされてしまうわけです。そうなるとせっかく32ビット版をインストールして、一時的にOKになってもすぐにまた利用できなくなってしまうわけです。
そのタイミングがすぐなのか?ちょっと時間が空いてなのかは、いろいろなのかもしれませんが、今回私が試した時には、インストール後、バージョン情報から 32ビット版 が動作していることを確認したのち、改めてこれを必要とするアプリを起動してみたら "Acrobat Reader がありません..." のエラー。その段階で再び Acrobat Reader を起動して確認してみると、64ビット版にアップグレードされておりました。
-- アップグレードさせないようにするにはレジストリの調整が必要:
Adobe のこのサイトによると、
- コマンドプロンプトを管理者モードで実行する
- 以下のコマンドをコピーしペーストする
Reg add "HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\WOW6432Node\Policies\Adobe\Acrobat Reader\DC\FeatureLockDown" /v "bUpdateToSingleApp" /t "REG_DWORD" /d “0” - "この操作を正しく終了しました" と表示されれば完了
ということになります。
【トラブルの事例】
一部のアプリでは、データ処理後の結果をPDF形式に書き出して、これを印刷することで、出力結果を紙に打ち出せるようなものがあります。こうしたプログラムによっては、そこで出力する際に指定される Adobe Acrobat Reader DC がインストールされていることも条件になりますが、それだけではなく、実は32ビット版じゃないとダメって断られてしまうようなアプリもあったりします。
その一例が、以下の
「やるぞ!青色申告確定申告2022」(RIO)
ただしこのアプリについては、実はすでに修正プログラムも出ているようなので、このプログラムについては一応対応済みということになるかと思います。
今回ご紹介したアプリは一例にすぎませんが、このアプリの場合には、Adobe Acrobat Reader DC がインストールされているにも関わらず、いざ印刷しようとすると、"Adobe Reader がインストールされていません.... " といったエラーが表示されて印刷できませんでした。
なぜかというと、このアプリの場合には、
- 印刷するには、Adobe Acrobat Reader の "32ビット版" が必要
- Adobe Acrobat Reader は通常のインストールだと "64ビット版" がインストールされる
- "32ビット版" を選択してインストールしても、自動的に "64ビット版" にアップグレードされてします
という事情があるからです。
今回ご紹介したプログラム以外にも、こうしたものは意外とあったりするかもしれません。そしてプログラム側で対応がされていないような場合には、上記でご紹介したように自動的にアップグレードしないように設定しておく必要があります。
さらにそれ以外にもどうしても、32ビット版の Adobe Reader をインストールしないといけないといった事情があるケースも考えられます。そんな場合には、Adobe 側のこうした事情もあるため、場合によっては、レジストリの調整が必要なケースも出てくるということにご注意ください。
<参照>