たかが見た目と言うなかれ。見た目が変わると、それがExcelのパフォーマンスに大きく影響することが確認されています。
1月25日に公開された Japan Office Client Support Blog「Excel シート タブの外観変更後、オートメーションのパフォーマンスが低下する 」によると「Excel が新しい外観に変わった後、Excel オートメーションの処理パフォーマンスが大きく低下する場合がある」ことを確認しているようです。
Office のデスクトップ各アプリの外観は、Windows 11 とビジュアル的にもより一貫性のあるものに更新されつつあります。Excelの場合にはそのシート見出しとなるシートタブのところにも変更が加えられています。
【単に角が丸くなっただけではすまない】
ブログにもありますし、現在の Microsoft 365 や、Excel 2021、Excel 2024 のシート見出しを見ていただくと一目瞭然ですが、最新バージョンのシート見出しは、角が丸くなっています。
Windows 10 上(左の画像)でも、Windows 11 上(右の画像)でも、そのシート見出しの角が丸くなっていることが確認できます。シート見出しに色を付けたりしていないとその違いは判りずらいところですし、また昔がどうなっていたか?覚えていないよ?とおっしゃる方もいるかもしれませんが、ここが変わったことで、今回エクセルのパフォーマンスが低下することが確認されていました。
ちなみに上記の画像は、Windows 11 Ver.24H2 上で動作する Excel 2019 の画像ですが、シート見出しの角が四角くなっていることがおわかりいただけると思います。
【その影響】
シートの多いブックだったり、オートメーションで各シートに対する様々な操作が発生したりする場合に大きくパフォーマンスが低下することが確認されています。
新しいシート タブの外観を描画するにあたって、その描画処理が大きく変更。こうした新たな描画処理で、特にシート数が多い時など、以前の処理より時間を要することが原因と確認しているようです。
【対象製品】
その対象製品となるものは以下の通りです。
- Microsoft 365 Apps
<最新チャネル>
Windows 11: バージョン 2308 (ビルド 16731.20170)
Windows 10: バージョン 2404 (ビルド 17531.20120) - <月次エンタープライズ チャネル>
Windows 11: バージョン 2310 (ビルド 16924.20180)
Windows 10: バージョン 2408 (ビルド 17928.20216) - 製品版 Office 2024
Windows 11 / Windows 10 ともに製品出荷バージョン以降全て - 製品版 Office 2021
Windows 11 / Windows 10 ともにバージョン 2308 (ビルド 16731.20170)
【修正プログラムの状況】
ちょうど今日手元の環境もバージョンアップしてますが、すでに修正バージョンの提供はスタートしております。
- Microsoft 365 Apps
<最新チャネル>
バージョン 2501 (ビルド 18429.20132) - 製品版 Office 2024/2021
バージョン 2501 (ビルド 18429.20132)
にて Microsoft 365 のサブスクライバー向けには本日提供がスタートしております。最新チャンネルではない、Microsoft 365 (月次エンタープライズ チャネル向け)には、2025 年 3 月に修正を含むバージョン 2501 を公開見込みとなっております。
【暫定的な回避策】
なおブログでも「新しい外観を適用しないよう、Office の設定で変更することはできません」とあるように、その設定で調整することは出来ないようです。
その暫定的な回避策として、
- シート名に日本語 (DBCS 文字) を使用しない
- 外部プログラムからのオートメーションを、VBA での処理に変更する
と言った方法が紹介されています。
ただしそれが難し場合には、Microsoft 365 あるいは Office 2021 のユーザーは、バージョンダウンして「シート タブが新しい外観に変わる前のバージョンに戻す」事ぐらいしかないようです。そして Office 2024 については、初期から新しい外観になっているため、これも出来ませんのでご注意ください。
Microsoft 365 を最新チャンネルでご利用の方は、まずは Update してみていただくことをお勧めいたします。
<参照>