これまで、Windows 11 Ver.24H2 については、リリース当初をはじめ何度か取り上げましたが、今回は改めてその対応デバイスなどアップデートそのものについて再度取り上げてみました。
ネットではいろいろ憶測も飛び交う中、前回は、Windows IT Pro Blog にて紹介された Windows 11 における TPM2.0 の意義についてもご紹介したわけですが、改めてアップデートについて確認してみました。
【ステータスが更新】
「Windows 11、バージョン 24H2 の既知の問題と通知」によれば、US時間の12月4日付で、「この最新バージョンの Windows は段階的にロールアウトされ、新しい可用性の段階に入っています」と、「Windows 11、バージョン 22H2、23H2 を実行する幅広い対象デバイスに提供」とあり、「 デバイスが更新の準備ができている場合は、[ ダウンロードしてインストールする] オプションが表示されます」ともあるように、今後は順次 Windows Update の画面にも表示されるようになるようです。
ただし現段階ではまだ自動でインストールされるという段階にはなっていません。
- 「利用可能になったら最新の更新プログラムを入手する」がオンになっている
- Windows11 Ver.24H2 のサイトからダウンロードしてインストールする
- Windows Updateの画面に、[ダウンロードしてインストールする] オプションが表示されている
以外の場合には、まだインストールには至りません。
もっとも今回利用可能なユーザーには、「利用可能になったら最新の更新プログラムを入手する」が "オン" になっていなくても表示されるような段階に入ったということは、今後一層、Ver.24H2 への更新がすすむのでしょうね。
【既知の問題とセーフガードホールド】
新しいものには、既知の問題はつきもの。皆無というわけにはなかなか行かないのが現実問題です。特に、Windows のようにユーザーも多くさらにそこで動作するアプリも様々なものがある以上 Microsoft だけでは検証しきれない面も多々あります。
そうした不具合が発見されて、そのフィードバックを受けて不具合を解決して、より使いやすい製品へと進化してくる訳です。ということですでに Ver.24H2 においても当然ながらいくつか不具合が確認されています。そうしたものについては順次、Microsoftの開発チームが解決に向かって対応しているわけですが、現時点では以下の様なものが報告されています。
すでにご存じの方も多いかと思いますが、「Windows 11、バージョン 24H2 の既知の問題と通知」の「メッセージセンター」の「最近のお知らせ」や Ver.24H2 の「既知の問題」ところで現在公開されています。
-- 現在公開されている既知の問題:
- 一部のUbisoftゲームは、Windows 11バージョン24H2デバイスで応答を停止する可能性があります
- eSCL スキャン プロトコルをサポートする USB デバイスは検出できない可能性があります
- 日付 & ウィンドウ設定の時刻では、ユーザーがタイム ゾーンを変更できない場合があります
- タスク マネージャーのメニューには、カウントが 0 のアプリとプロセスが表示されます
- Voicemeeter アプリが予期せず閉じ、ブルー スクリーン例外エラーが発生する可能性があります
- ディスク クリーンアップでクリーンアップに使用できる領域が誤って報告される可能性がある
- 一部のASUSデバイスは、Windows 11バージョン24H2をインストールできない可能性があります
- デバイスがロックされた後に指紋センサーで問題が発生する可能性がある
- カメラを使用すると、一部のアプリケーションが応答しなくなる可能性があります
- 安全な試験ブラウザー アプリケーションが開かされない場合があります
- Easy Anti-Cheat を使用している一部のデバイスは応答を停止し、ブルー スクリーンを受け取ります
- 壁紙のカスタマイズ アプリケーションが期待どおりに動作しない可能性がある
- Intel Smart Sound Technology ドライバーとの互換性の問題
- アスファルト8は定期的に応答を停止する可能性があります
こう並べてみるといろいろありますよね?
でもこれはすべての PC の環境で発生するものでもなければ、すべてのユーザーに影響を与えるものでもなかったりします。ただし該当の不具合が ビンゴ!なユーザーにとっては深刻な問題ではあるわけです。
一方では、上記の「解決済みの問題」にもありますが、すでに解決していて修正プログラムも提供済み...と言うものも多々あるわけです。
-- 解決済みの問題:
- タスク マネージャーのメニューには、カウントが 0 のアプリとプロセスが表示されます
- Voicemeeter アプリが予期せず閉じ、ブルー スクリーン例外エラーが発生する可能性があります
- デバイスがロックされた後に指紋センサーで問題が発生する可能性がある
こうして確認されている既知の問題による不具合を避けるために、「既知の問題」が関連してくるデバイス向けには、「セーフガードホールド」が適用されて、Update が来ないようにもなっています。
上記の日本語サイトでも当然情報は公開されていますが、情報の更新は、USサイトの方が早く、中々日本語化されないケースもありますので最新の情報を確認されるのであればUSサイト「Windows 11, version 24H2 known issues and notifications」もご確認ください。Microsoft Edge であれば、必要に応じて翻訳機能を利用すれば、日本語でも確認することが可能です。
【Update 後に不具合が発生したら?】
通常、今後順次 Windows Update に、"ダウンロードしてインストールする" が表示されるようになるようですが、これも一斉にすべてのユーザーに表示されるわけではなく、その適用範囲が順次広げて提供されていくので、複数のPCをお持ちだったりすると、一台のPCにはUpdateが表示されても、もう一台には来ないよ? という事例もあるかもしれません。
しかし基本的にセーフガードホールドの対象ではないデバイスであれば順次配信されてくるので、急がずにお待ちください。
さて動作上の不具合って、各自の利用環境によってまちまちです。つまり、私の手元にある Ver.24H2 であったり、Windows Insider の Canary Channel をインストールしている Windows 11 だったりしても、全く不具合もなく使えていますが、これはあくまでもその人の利用環境で問題がないというだけの話であって、全ての人が同じというわけではありません。
同じメーカーの、同じPCでも、インストールされているアプリや、接続されているデバイスが異なれば当然利用環境が異なるので発生しうるトラブルなども変わってきます。
ネットやメディアなどで、問題なく使えているよ?という声もある、一方で不具合が多いからやめた方がいいという否定的な意見をお持ちの方もいらっしゃいます。あくまでもその人の環境では問題が発生するというだけで、すべての方に影響があるわけではありませんので、そうしたメディアの報道を鵜呑みにするのも考え物です。
あくまでも自分の環境で問題ないか?どうかが問題なわけです。
-- インストール後不具合が発生したら?:
Ver.24H2 にアップデートしてみたら、〜が使えない、〜のアプリが動作しなくなった... などまだ報告されていないような不具合に遭遇するケースが全くないわけではありません。
そんな場合には、Microsoft にフィードバックすると同時に、場合によっては、Ver.24H2 にアップデートする前の環境に復元する必要があります。
スタート>設定>Windows Update>詳細オプション>回復
と開くと、「回復オプション」のところに「復元」というボタンがあります。Update して 10日以内であれば、ここの "戻す" をクリックすることで、Update 前の環境に戻すことも可能です。
不具合が見つかったから、Update は一旦待とう... という場合には、この回復オプションを利用して、Update 前の状況に戻してご利用になってみてください。
【仕様を満たさない環境へのインストール】
最後にもう一つ、この話題にも触れておきましょう。ネットでも話題になってますが Windows 11 のインストールに必要な要件を緩和して、多くのPCに使ってもらうという噂。
「最小システム要件を満たしていないデバイスに Windows 11 をインストールする」な記事があるので、勘違いされやすいところもありますが、基本的に、TPM2.0 の件を取り上げた際にもブログの中で触れられていましたが、Windows 11 にとっては、TPM2.0 をはじめその最低限の必要な仕様が下げられることはありません。またそうした動作仕様を満たさないPCへのインストールは推奨していません。
海外のメディアなどで報じられたのがきっかけでうわさが独り歩きしているだけです。
レジストリなどを変更したり、必要要件を回避するようなインストールメディアを作成するツールなどを利用してインストールする方法などネット上には様々な情報があります。
もちろんそうして利用されている人もいるでしょうし、それで問題ないよ?という人もいらっしゃるでしょう。でもそれはあくまでもその人の環境で問題ないだけの話です。別の人がいざ使ってみれば問題だらけ...なんていうケースもあります。そうしたネット上の話をうのみにするべきではありません。
もちろん試すのは勝手ですが、そうしてインストールされたものは、Windows Update で更新が来なくなったり、Windows 11 の仕様をもとに作成されているアプリが正常に動作しなかったりすることは避けられません。無用なトラブルに巻きこまれたくないなら避けるべきでしょう。
以前 実際に、Ver.21H2 がその仕様を満たさないPCにインストールされているものを拝見したことがありました。当然ながら、普通に使っていると何が問題あるのか?わからない程度には使えてました。しかし....
- いくらUpdateをかけても、Ver.22H2 は降ってきませんでした
- 更新アシスタントなどでUpdateをしようとすると仕様を満たしていないとはじかれました
- デスクトップの片隅に動作仕様を満たしていないという文字が表示されておりました
といった症状を確認しました。
つまり普通の Update では、Ver.22H2 にも、Ver.23H2 にもできないわけです。そうなると大型のUpdateは毎回、その動作仕様を回避するためのインストールメディアを利用してUpdateでもしない限り更新できないわけですね。
さらにこうした動作要件を満たさないPCに、Windows 11 を導入して販売している ある意味、悪質な詐欺まがいの商売をしている中古販売業者も多々あります。中古PCなどの場合には、なおさら知識がないとそうしたトラブルに巻き込まれますのでご注意ください。
「君子危うきに近寄らず」... ですね。無駄な仕事増やさないためにも。
【2024/12/08更新】
ブログの中でもご紹介しましたが、Ver.24H2 が新たなステージへ。うちのPCの場合には、「利用可能になったら最新の更新プログラムを入手する」をONにしていたため、検証用に残しておいたのにうっかり Ver.24H2 にアップデートされてしまったんですが、その後、復元して、Ver.23H2 に戻しておいたものにも、普通に Windows Update の画面にも表示されるようになりました。
左:これまでの画面(2024年11月)
右:現在の画面(2024年12月)
とうとう表示されるようになりましたね。でも「ダウンロードとインストール」をクリックしない限りは、更新されません。ちなみに「この更新プログラムを見る」をクリックすると...
というサイトに移動、Ver.24H2 の更新内容について紹介されています。
<参照>