Office Home &Business 2019 for mac などの Office 2019 for mac をご利用のユーザーが、Office を更新したら、Microsoft 365 のライセンスを要求されるケースがあります。ちょうど、この製品がサポートが終了した後、昨年の11月や12月あたりは、Microsoft コミュニティを見ていても、ちらほらこうしたトラブルが発生していました。
今回はこの事例についてご紹介いたします。
【mac 版 Office はサポート期限が異なる】
すでにこのブログ「Office 2019 for mac のサポートは、2023年10月10日まで」でも取り上げたことはありますが、Office 2019 for mac は、昨年サポートが終了した製品となります。Windows 版と異なり、サポート期限(5年)が短いわけです。それは、macOS のサポート期間(更新プログラムが提供される期間)が短いというのもその背景にあるのかもしれませんね。なので、Windows 版を想定した情報を見て、 Office 2019 なら mac 版もまだ大丈夫と勘違いしないように注意が必要です。
【なぜ? Microsoft 365 のライセンスを要求されるようになるのか】
Windows 版と異なり、mac 版 Office の場合には、
- Office 2016:
最終更新日 2020年10月13日 Ver.16.42(20101102) - Office 2019:
最終更新日 2023年10月10日 Ver.16.78(23100802)
までは、このライセンスで更新できるわけですが、これ以降はそれぞれの製品のライセンスではカバーされなくなります。
さらに Office 2019 の例で言うと、「macOS をアップグレードして、Microsoft 365 および Office for Mac の更新プログラムを引き続き受信する」の中でも紹介されていますが、macOS のバージョンによって、同じ Office 2019 でも利用できるバージョンが変わってきます。
- macOS Catalina:
最終更新日:2022年10月31日 Ver.16.66.2(22102801)
(Ver.16.66まで) - macOS BigSur:
最終更新日:2023年9月19日 Ver.16.77.1 (23091703)
(Ver.16.77まで)
macOS のサポートが終了すると、その macOS 上では macOS 自体のアップデートをしないと更新できなくなります。つまりライセンスはあっても、macOS が古ければこれ以上更新自体できません。
上記の画像は、macOS BigSur 上で、Microsoft 365 を利用している例ですが、OSのアップグレードをしないと、更新できないというエラーになります。画像をご覧いただくとお分かりの様に、Microsoft 365 ではありますが、Office 2019 と同様で、Ver.16.77 までしか更新できず、これ以降は、macOS のアップグレードによって、macOS Monterey 以上でないと更新は受け取れません。
上記にもあるように、一応、Microsoft 365 Personal などのサブスクリプションのライセンスの場合、アップデートできないだけで、Office のライセンス的には問題ないため、動作はします。
mac ユーザーであれば、当然ご存じだと思いますが、mac の場合には、そのデバイス(PCなど)によって、対応可能な OS がどこまでになるのか?制限されています。つまり、いくら更新したくても、macOS 自体の更新ができなくなります。"OpenCore-Patcher" なんて裏技もあったりするわけですが、古い mac だったりするとメモリやCPUなどハード面を考えるとこれもちょっと厳しい。
さらに、昨今 macOS もその脆弱性を指摘されるケースも多く、頻繁に更新が提供され、さらにそうした脆弱性が実際に悪用されている事例も増えているので、古い macOS はやはりセキュリティ面でも問題が多い。
そういう点からすれば、macの場合には、macOS の更新ができなくなったら買い替えを検討せざるを得ないのが実情です。
-- macOS が更新できる場合が問題:
しかしここで問題になるのは、単に Office 2019 で、最終的に、Ver.16.78 までしかサポートされないなら、更新しなければいいだけではありますが、やはり「macOS をアップグレードして、Microsoft 365 および Office for Mac の更新プログラムを引き続き受信する」の中でも紹介されていますが、"オペレーティング システムを macOS Monterey 以降にアップグレードすると、Office の更新プログラムをアプリに配信できるようになります" とあるように、macOS がサポート対象(最新のものを含む3つ)である場合、Microsoft AutoUpdate では、更新できてしまいます。
更新して最新バージョンまでアップデートしたりすると、当然、 Office 2019 のライセンスでは対応していない製品になるため、Microsoft 365 などのライセンスが要求されるようになってしまうわけです。最近、このトラブルで実際に拝見した例では、macOS Sonoma を利用されている方が、Office の Update をしたことで、Ver.16.81 にアップデートされてしまった例。これにより、当然ながら、Office 2019 では使用できないライセンスなので、Microsoft 365 のライセンスが要求されて、制限モードになり、データの保存などができなくなっていました。
つまり Office の更新もしばらくしてみてないから更新してみるか... な〜んていう形で、更新していなければ利用できていたものを、更新したがために利用できなくなってしまうというトラブルに合うわけです。(自動更新だったりすると、もっと早く利用できなくなっていたのかもしれませんね)
最新の macOS、さらに最新の状態で Microsoft 365 をご利用というケースであれば、何も問題は発生しないわけですが、古い macOS や 古いライセンスの Office を利用している場合には、こうした、Office の更新、macOS のアップデートによって問題が発生してしまいます。
【その対策は?】
今回は、macOS はサポート対象OSであることを前提にお話を進めていきます。
対象利用環境:
- macOS Monterey Ver.12.0
- macOS Ventura Ver.13.0
- macOS Sonoma Ver.14.0
** macOS Big Sur Ver.11.0 まではすでに更新プログラムの提供が終了しております。サポート対象OSは、新しい macOS の提供がスタートすると随時変更されます。現在こうした macOS でサポートされている Office 製品は、
- Office 2021
- Microsoft 365
のみになります。
Office 2019 以前の製品は基本的にサポートも終了しているので、Microsoft 365 Personal などに乗り換えることがお勧めなわけですが、それも含めて、どんな対処法があるのか?ご紹介いたします。
- Microsoft 365 Personal を購入してライセンスを更新する
- Office 2019 を削除して、Office 2019 で利用可能な最後のバージョンをインストールする
- Office 互換製品に乗り換えて利用する
1) Microsoft 365 Personal を購入してライセンスを更新する:
やはりこれが一番間違いない方法です。
Office 2021 などの統合パッケージ版(永代ライセンス版)でもいいわけですが、永代ライセンス版の場合には、今後またこのサポート期限(Windows 版、mac版 ともに、2026年10月13日)が来れば、同様のトラブルに遭遇することになります。
Microsoft 365 のサブスクリプションであれば、mac 自体の問題で、mac 自身を買い替えないといけないケースは出てきますが、Office 製品は引き続きそのままサブスクリプションが有効であれば利用可能です。
-- アプリのライセンスの更新手順:
- Microsoft Store や、Amazon などで Microsoft 365 Personal などのサブスクリプション製品を購入し、現在使用している Microsoft アカウントで利用できるように紐づけ作業(登録作業を行う)
- 現在使用中の mac で、Word でも、Excel でも構わないのでアプリを起動し、メニューバーの Word などをクリックしていったんサインアウトし、再度同様にサインインしなおします
-- うまくいかない場合:
「Mac で Office のライセンス ファイルを削除する方法」にあるように、Office for mac には、ライセンス情報を削除するためのツールが用意されていますので、こうしたツールを利用していったんライセンス情報を削除したうえで、改めて今回紐づけされた Microsoft アカウントに手サインインしてライセンス認証してみてください。
2) Office 2019 を削除して、Office 2019 で利用可能な最後のバージョンをインストールする:
Windows 版 と異なって、古いバージョンに戻すというのも結果的に mac 版の場合には、「Mac 版 Microsoft 365 などの Office 製品をロールバックする」でもご紹介していますが、削除して入れなおすという流れになります。
そして、古いバージョンを入れたら Microsoft AutoUpdate の設定を変更して Update しないように変更しておく必要があります。でないと、自動でアップデートされて、また最新バージョンまで上がって、入れなおさないといけなくなってしまいます。
-- Office for mac の古いバージョンをダウンロードする:
古いバージョンをダウンロードしてインストールするには、通常の再インストール方法(Microsoft アカウントなどからの再インストール)ではできません。こちらの方法では、常に最新のものしかダウンロードができないからです。しかし、「Office for Mac の更新履歴」からであればある程度までの期間は古いバージョンのインストールパッケージのダウンロードが可能です。
現段階で上記サイトにて確認すると、macOS Catalina でも利用可能な、2022年10月11日に提供された Ver.16.66 のインストールパッケージ(Office スイート)も確認できます。
ただし、こうした古いバージョンを入れなおして利用する方法は、古いバージョンが抱えている不具合や脆弱性などがあった時に対応されないという点から推奨されませんので、あくまでもどうしても利用しないといけないといった事情がある場合のみに限られるものとご理解の上お試しください。トラブルが発生してもすべて自己責任ということになります。
また一応ライセンス的には、Office 2019 までのライセンスがあれば、問題なく利用できるようになるものと思われますが、そのインストールについても、またその利用についても、動作保証されているものでもありません。
3) Office 互換製品に乗り換えて利用する:
mac には標準で、iWork というアプリが搭載されています。Pages、Numbers、Keynote といったアプリに乗り換えて利用することもできるわけです。
この他にも、
- Office for the web(Web版 Office)
- Google オフィススイート
- OpenOffice、LibreOffice などのような互換製品
を使うという方法も、その選択肢としてあります。
ただしあくまでもこれらは互換ソフトなわけですから Word や Excel、PowerPoint といったソフトとは異なりますので、その機能や使い勝手は異なります。また過去に作成されたデータが正しく表示できる保証もありません。
ということで、ここ最近またこの問題をちらほら確認するケースが出てきたので取り上げてみました。
<参照>