Microsoft Word で文章を作成する際、「文字数・行数を指定したとおりに入力できるようにしたい....」といった相談は、昔から結構あったりします。というのも、例えば、40字x40行なんて設定しても、普通に行数と文字数を設定しただけではそうならないからです。
しかし、意外と課題やらレポートやらで、文字数・行数が指定されるケースってあるんですよね?
このブログを始めた当初にもそんな話題を取り上げたことがありました。
・行数・文字数をきっちり指定して文書作成(2006年06月20日)
そんな Word 2007 のころと比べて状況はどうなのか?というと実はちっとも変わってません。ということで、改めて取り上げさせていただくことといたしました。
【行数と文字数の設定だけではダメ】
まずは、普通に、Word を起動して、文字数と行数を指定してみます。
-- 作業手順:
- Word を起動し、新規文書を呼びだします
- ページレイアウトタブから、ページ設定グループの "ダイアログボックス起動ツール" をクリック
- ページ設定ダイアログを表示させ、"文字数と行数の指定" のところで、"文字数と行数を指定する" を有効にします
- 続いて、文字数を40、行数を40に設定し、OKで閉じます
そして、実際に入力してみたのが以下のものです。(rand 関数を利用して サンプルテキストを入力しています)
ステータスバーに行数、列数を表示する設定にしてみると、カーソルが点滅している部分の情報がステータスバーに表示されますので、ステータスバーを右クリックして表示させてありますが、例えば上記のものであれば、1ページ目の一 番最後の文字のところでカーソルが点滅しているわけで、本来であれば、40行、40字となっていてほしいわけですが、実際のところでは.... 「行:21 列:42」と表示されています。
文書を見ても一目瞭然で、行間も開いているので40行もありそうもないですし、文字数は実際にカーソルを置いてみないとわかりませんが、微妙に行によっても異なったりします。
例えば、1行目にカーソルを点滅させているのに、2行目、43文字目になってたり、すぐ下の 2行目にカーソルを点滅させているのに、3行目、41文字目になっていたりしているのがお分かりいただけると思います。
** ちなみに、上記でも書きましたが、カーソルが点滅しているところの行数や文字数を表示させるためには、ステータスバーの上で右クリックして、"行番号" と "列" にチェックを入れれば表示されます。(わざわざ行数や文字数を数えなくてもよくなります...)
もちろん信用できない... ならば、数えてみてください。
【フォントの種類や、文書の自動整形する機能がじゃまになる】
では、なぜそうなるのか?
Microsoft Word ということで言えば、もちろん原稿用紙のようにきっちり決まった文章も打てるわけですが、それ以上に文章を見やすく、体裁よく仕上げる方が優先されているため、様々な機能がその背後で設定されています。
そこには、
- 全角の文字か半角の文字なのか?
- フォントの種類やサイズは?
- 数字や記号が使われているか否か?
- 句読点などの禁則処理の設定
といったようなことがかかわってきます。
上記のような部分の設定になります。(上記の画像は、デフォルトのままの状態です)
ですから簡単なことのようですが、そうした機能をいったん排除しないと、40字x40行 といった 一見簡単な設定であっても、簡単にはいかないわけです。
--対処法:
さてでは具体的な対処法についてみていきましょう。どこまで厳密に行うか?で段階別にみていきます。
- レイアウトタブから原稿用紙設定を使用する
- ページ設定から、原稿用紙設定を使用する
- 設定をすべてカスタマイズして行う
といった方法があります。
1) レイアウトタブから原稿用紙設定を使用する
みなさんおなじみの原稿用紙設定です。マス目の有無は、その設定の過程で選択すればいいだけなのですが、原稿用紙に書いたように仕上げたいというときには便利な設定です。
でもよくよく見ると、
- 行数と文字数の設定が、10x10 あるいは 20x20 しか指定できない
- 半角の英数文字が続いた時に微妙にずれることがある
といったところで、今回課題とした 40行 x 40字 はできません。原稿用紙設定で行う場合には事前にフォントは、MS明朝などの書体に変更しておくといいでしょう。
この方法の場合、設定した後ではフォントサイズなども固定されてしまうので文字の大きさも自由に調整が出きません。もっとも、以前このブログでもご紹介していますが、「原稿用紙設定でフォントサイズを調整したい」にあるように、作成後いったんアドインを無効にすれば、フォントサイズなどの指定は可能になります。
2) ページ設定から、原稿用紙設定を使用する
最初に取り上げたものと似ていますが、こちらは、ページ設定ダイアログから行う "原稿用紙" 設定となります。
試しに3行目の最後のところをクリックすると、「行:3 列:40」となっているので、文字数は正しくなっています。ただし、半角の英数文字や記号などが入っていると1行に入力された文字数も微妙に変わってきます。
さらに、フォントの種類を MS 明朝 などに変更して文末でクリックしてみると、40行x40字 と表示されるようにはなりますが、途中英数文字や、カッコなどの記号が入っている行は微妙に行数が異なるので、厳密に、40行x40字 というわけでもありません。
3) 設定をすべてカスタマイズして行う
レイアウトタブ>ページ設定の、ダイアログボックス起動ツールをクリックして、ページ設定ダイアログを表示します。
・文字数と行数:
"文字数と行数を指定する" を ON にして、文字数 40 行数 40 と設定します。
続いて "フォントの設定" を開いて、日本語用のフォントに MS明朝、英数字用のフォントは (日本語用と同じフォント)に変更。さらに "詳細設定" タブを開いて、"カーニングを行う" のチェックを外して、オフにします。最後に OK をクリックして、ページ設定ダイアログの設定を完了させます。
** カーニングとは?
"カーニング" は、英字などの文字が使用されている場合、文字と文字の間隔を詰める機能のことを言います。「半角英字」や「区切り文字」などの場合にその影響が出てきて文字位置が微妙にずれたりします。
** フォントについて
一般的にフォントには、固定ピッチフォントとプロポーショナルフォントがあります。
- 固定ピッチフォント(等倍フォント):字形によらず文字幅が一定のフォント
- プロポーショナルフォント:字形によってわかりやすいように文字間隔が詰まったりするフォント
MS明朝は、固定ピッチフォントになりますが、MSP明朝は、プロポーショナルフォントになります。文字位置をきっちりそろえるには、プロポーショナルフォントではなく固定ピッチフォント(等倍フォント)を利用する必要があります。プロポーショナルフォントだと、英数文字ばかりか、日本語フォントでは句読点などでも影響がでてきます。
・段落の設定
続いて段落の設定に入ります。先ほどと同じように、レイアウトタブの、段落グループのところにある ダイアログボックス起動ツールをクリックして、段落ダイアログを表示させます。
"体裁"タブを開きます。
"文字幅と間隔"にある
"日本語と英字の間隔を自動調整する"
"日本語と数字の間隔を自動調整する"
"日本語と数字の間隔を自動調整する"
の2カ所のチェックをはずします
・Word のオプションの設定
左ペインの "文字体裁" をクリックし、文字体裁オプション を設定します。
カーニング:英数字のみ
文字間隔の調整:間隔は詰めない
最初にフォントの設定を変更しましたが、すでに文書が入力されている状態であれば、既存の入力されている文書をすべて選択して、フォント設定も、MS明朝などに変更する必要があります。
そして出来上がった文章が....
2行目のように、半角文字やカッコなどのない行はきっちり40文字になっています。またページ末も、40行、40字になっていることがお分かりいただけると思います。
半角英数文字やカッコなどが入っていたりすると文字数的には2文字で一文字分の扱いと計算するようにすれば、やはり1行40字の設定は、正しくできていることになります。半角の文字を避けたり、カッコなどは全角で入力するなどとすれば、きっちり 40行x40字 となるわけです。
<参照>
Windows 11、メモリ16G、SSD 500Gb 搭載のPCが、