Microsoft が提供する ファイル復元ツール "Windows File Recovery"。ちょっと間が空きましたが今回は、実際の利用方法についてご紹介いたします。
初回には、Windows File Recovery というツールの概要から、利用するにあたってのシステム要件、そしてダウンロードまでをご紹介。
Part 2では、Windows File Recovery で使用する3つのモードと、リカバリ可能なファイル形式などの詳細についてご紹介しました。
そして、今回 Part 3 では、実際にどういう過程でファイルを復元していくのか?を確認し、ご紹介いたします。
【3つのモード】
Part 2 でもご紹介しましたが、復元には、以下の3つのモードが用意されています。
1) デフォルトモード/Default mode
2) セグメントモード/Segment mode
3) シグネチャーモード/Signature mode
2) セグメントモード/Segment mode
3) シグネチャーモード/Signature mode
復元したいファイルの状態や種類によって使い分ける必要があります。その簡単な概要は、Part 2でも取り上げましたが以下の通りです。
ファイルシステム | 使用環境 | 推奨されるモード |
NTFS | 最近削除されました | デフォルトモード |
少し前に削除 | セグメントモードで試してみて、ダメであればシグネチャーモード | |
ディスクをフォーマットした後 | ||
破損したディスク | ||
FAT、exFAT、ReFS | リカバリ可能なファイル形式 | シグネチャーモード |
また復元するにあたっては、多くのこうした復元ソフトでもいえることですが、同じドライブには復元できません。"Source and destination cannot refer to the same partition" と表示されて止まってしまいます。なので、Cドライブ内のデータであれば、USBメモリでも構わないので、異なったパーティションか、USBメモリなどにデータを復元する必要がありますので、ご注意ください。
【復元の実際】
初回にも紹介したようにこのツールは、コマンドベースのツールです。GUIベースのものとは異なりますので、スタートボタンなどからたどって "Windows File Recovery" をクリックすると、コマンドプロンプトの画面が管理者モードで起動してきます。
そしてファイル復元のスタートになります。
基本のコマンドは、
winfr [削除されたファイルをスキャンするドライブ] [復元するファイルの保存場所]
という構成になります。
例. winfr C: F:
上記の例でいうと、Cドライブ内の削除されたファイルをスキャンして、Fドライブに復元する という操作になります。
もちろんこんな形で復元してしまうと、とんでもない数のファイルが出てきかねませんし、また時間もかかります。そこでさらにさまざまなオプションスイッチで指定して行います。
上記の画像でもあるように、起動時にその基本的なオプションスイッチが表示されます。
/r:セグメントモード
/n:さらにフィルタリングしてファイルを絞り込みます
/x:シグネチャーモード
/y:復元する拡張子グループを指定します
/#:シグネチャーモードの拡張子グループ、ファイルタイプを表示します
/?:ヘルプ
/!:さらに詳細なオプションスイッチを表示します
今回は、Cドライブ内をスキャンして、jpg という拡張子のファイルを、USBメモリ内に用意された "20200728" というフォルダ内に復元するという形で操作してみました。
例. winfr C: F:20200728 /r /n *.jpg
デフォルトモードの時にはあえてモードの指定もしないんでしょうけど、通常ファイルが削除されてしまったことに気が付いた時点で、いつ削除された?というのは記憶もあいまいでしょうから、セグメントモードでいいかと思います。
分析が終わると、"Continue? (y/n)" と聞いてくるので "y" を押せばスキャンがスタートします。ここから復元には結構時間もかかると思いますので、あとは画面の進み具合を確認しつつ待ちます。Pass 1で、指定された場所をScanして、Pass2で復元がスタートします。
今回はちょっとCドライブ全体なんてやってしまったので、4074個のファイルの復元何てことになってしまったので、中断しましたが、復元されたファイルは、以下のように指定されたフォルダ内にさらにフォルダが作成されてファイルが復元されていきます。
闇雲にファイルの復元をすると、とんでもないことになるので、やはりオプションスイッチを利用して、かなり細かにファイル名など具体的に設定してあげるのがよさそうです。
Scanにもかなり時間がかかりますが、その後復元の作業が始まると、そこからさらに時間がかかりますので、かなり時間がかかることは覚悟した方がいいのかもしれません。
フリーのものでも、GUIで利用できるファイル復元ソフトなんていうものもあるので、コマンド操作に慣れない方、時間があまりない方にとってはそっちの方が扱いやすいかもしれませんね。
<参照>