前回は、"Windows File Recovery Tool" が、Windows 10 Ver.2004 ユーザー向けに提供がスタートしたことについてご紹介いたしました。
今回からは、この具体的な使い方についてご紹介したいと思います。
まずはもう少し詳細を確認していきましょう。
【コマンドベースのツール】
前回の記事の最後にもちょっと触れましたが、このツールはいわゆる GUI ベースのツールではなく、コマンドベースのツールになります。なので多少慣れてる方でないと面倒な部分も多いかもしれませんが、操作方法はさほど難しくないのでぜひ使ってみてください。
-- 起動する:
スタートボタンをクリックして、メニューをたどっていくと、"W" のところに、"Windows File Recovery" というメニューが確認できますのでクリックして起動します。
クリックすると、管理者としてコマンドプロンプトが起動するので、UAC(ユーザーアカウント制御) の画面が表示されますので、"はい" をクリックして進みます。
するとコマンドの画面が表示され、プログラムが起動してきます。
--3つのモード:
"Recover lost files on Windows 10" によると、動作モードには3つあるようです。
1) デフォルトモード/Default mode
2) セグメントモード/Segment mode
3) シグネチャーモード/Signature mode
1) デフォルトモード/Default mode:
このモードは、マスターファイルテーブル(MFT)を使用し、失われたファイルを見つけます。 MFTおよびファイルレコードセグメント(FRS)とも呼ばれるファイルセグメントが存在する場合には、デフォルトモードでも適切に機能します
2) セグメントモード/Segment mode:
このモードではMFTは必要ありませんが、セグメントが必要になります。 ちなみにセグメントととは、名前、日付、サイズ、タイプ、クラスター/アロケーションユニットインデックスなど、NTFSがMFTに保存するファイル情報です。
3) シグネチャーモード/Signature mode:
このモードでは、データが存在し、特定のファイルタイプを検索する必要があるだけです。 小さなファイルでは機能しません。 USBドライブなどの外部ストレージデバイス上のファイルを復元するには、署名モードでのみ可能です。
つまり、用途に応じてモードを切り替えてチェックする必要があります。
【ファイルシステムと利用するモード】
Windowsでサポートされているファイルシステムには、ストレージデバイスやオペレーティングシステムによって FAT、exFAT、ReFS、NTFSと言うように、異なるものがいくつかあります。 非NTFSファイルシステムからのファイルの回復は、シグネチャーモードでのみサポートされています。
ファイルシステムによって、利用するモードが異なります。
ファイルシステム | 使用環境 | 推奨されるモード |
NTFS | 最近削除されました | デフォルトモード |
少し前に削除 | セグメントモードで試してみて、ダメであればシグネチャーモード | |
ディスクをフォーマットした後 | ||
破損したディスク | ||
FAT、exFAT、ReFS | リカバリ可能なファイル形式 | シグネチャーモード |
またリカバリ可能なファイル形式には以下の様なものがあります。
拡張子グループ | ファイルタイプ |
ASF | wma、wmv、asf |
JPEG | jpg、jpeg、jpe、jif、jfif、jfi |
MP3 | mp3 |
MPEG | mpeg、mp4、mpg、m4a、m4v、m4b、m4r、mov、3gp、qt |
PNG | png |
ZIP | zip、docx、xlsx、pptx、odt、ods、odp、odg、odi、odf、odc、odm、ott、otg、otp、ots、otc、oti、otf、oth |
【ファイルの復元にあたっての注意事項】
"Recover lost files on Windows 10" にもありますが、削除されたファイルを復元するチャンスを少しでも大きくしたいのであれば、コンピューターの使用を最小限にするか、使用を避ける必要があります。
なぜか?
ファイルが削除されると、Windowsファイルシステムでは、削除されたファイルが使用する領域は空き領域としてマークされます。この段階では、ファイルデータがまだ存在し、回復できることを意味します。 ただし、コンピューターを使用するとファイルが作成され、この空き領域がいつでも上書きされる可能性があります。
つまりそれだけファイルを復元できる可能性が低くなるわけです。
次回は、各モードでの具体的な使い方をご紹介いたします。
<参照>